無窮天穏 SAGA2025 COSMIC INTERBEING そやし水もと純米大吟醸 佐香錦50 1.8L

無窮天穏 SAGA2025 COSMIC INTERBEING そやし水もと純米大吟醸 佐香錦50 1.8L

販売価格: 8,000円(税別)

(税込: 8,800円)

在庫わずか
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杜氏より

SAGA は造り手の想いを届ける酒です。

私がお伝えしたい日本酒のすがたを最大限に映し出せるように醸造しました。

その手段として今回ははじめて水もとで純米大吟醸クラスの酒を造りました。以下の思想を現実にするためのいろいろな仕掛けを入れています。とてもやわらかで浸透するうまい酒です。

その醸造内容は自分でもとてもめんどくさいものだと思います。ものづくりとして進んでいる限り、冒険している限り、どうしても内容は抽象的になっていくし理解までの道筋が長くなっていきます。酒で自然がどうという話になるように、酒とはそもそも抽象度の高い概念的なものですから説明が難しい。しかしまた同時になんの情報なしに飲んでも素直に美味しさや概念が伝わる酒だとも思います。


後にも書いているんですが、お酒は言葉や理屈として理解する必要は全くなく、直観として感じればよいものですし、人間の情熱が伝線すればそれで大成功です。言語から伝わる人もいれば五感から伝わる人もいるので、そこはお任せしたいと思います。以下の文字情報は必要なければ飛ばしていただいて大丈夫です。香味も設計も両方楽しめればなお良しです。


よろしくお願いいたします。


◎今回の SAGA タイトル COSMIC INTERBEING(=宇宙的縁起)のはなし

COSMIC…宇宙、森羅万象INTERBEING…相互関係、あいだ、縁起日本酒はかつて日本人とそれを包む日本の風土とのあいだに営みを生み出すために造られていきました。その液体は酒や神酒と呼ばれましたね。酒は自分たちの祖先と土地を構成する数多の自然生命の総和であり、加えて自分たちが溶け込んだものであると考えられたと思われます。

それを大きく体感させるものは土であり農耕です。そこには人はやがて土となり、今を生きる者がつくる土は肥(こえ)となり、両者合わさって米になるという現実が大きな土台となっているように見受けられます。この土を介して百の姓を成すという農耕民族日本人の一元論
思想が日本人には根付いていました。

その米からつくられる酒は過去から未来にいたるまでのすでにあるつながりが1つにまとめられた液体として、空や土、水や火(エネルギー)、命とおなじような全てのあいだ(=INTERBEING)を満たして同化せるものとして認知され、その優れた特性は祭祀に利用されてきました。

お祭りのときに人は酒に酔い、詩や歌に酔い、踊りに酔い、遊びに酔い、人に酔いしれます(=神楽)。酔うとは言語と時間を忘れることです。酔いの作用によって五感を弱められた人間は言語と時間の認知が弱くなり、物事を強く分類したり仕分けすることができなくなって
しまいます。

言語と時間を忘れるという現象は想像しづらいかもしれませんが、それは無意識になることと同じ現象です。映画でもコンサートでも、スポーツでもゲームでも同じことが起こります。夢中になる、没入する、無意識に入るということは分化の認知が弱まり、その対象と同化し
ているということです。夢の世界のように時間や言語がない世界ではすべてが同じ無意識の認知状態になるのでなんでも有りの世界です。


自分と周りの世界が同化したその無意識の夢のような体験は、人々に大きな群れを感じさせました。その体験で得た概念が村であったり、日本であったり、土地であったり、自然生命という言語では説明のつかないような共同体感覚でしょう。日本酒とそれ利用したお祭りは、人々の認知を分化(ディスアナロジー)から類化(アナロジー)に変え、巨大な群れを実感させる最たる手段として利用されてきたように見られます。

それは会社から家族のいる家に帰ったような、眠るときに現実世界から夢の世界へ誘われるような得も言われぬ安心感を人々に与えました。現代社会は分化によって支えられ、家族は類化によって支えられている構造を持っています。

もともとの人間はアナロジーから発生し、約1万年前から始まった穀物栽培とそれを基盤とした文明社会への適応を迫られて分化の認知による統制を発展させてきたため、現代の文明社会で営みをするためにだれしもがこの分化と類化の往来によって自分の世界の営みの継続を保っているのです。

酔いや祭りは人間社会と自然生命のあいだに関係性をつくる白日夢の体験として、なくてはならないものとなっていったのです。ここには御神酒や縁起思想、社会と予祝儀礼の発展。空や土の発生と密接に関係している発酵という仕組み、生物と微生物のアミノ酸によってつくられる自然生命の潮流、エントロピー増大の中ではたらく自然生命同士のあいだを埋めるオートポイエシスやファージの作用と時間の創出など、多くの既存の仕組みが複雑に絡み合って一つの世界を形成しているという構造が潜んでいます。

私がなぜ人は酒を造り酒を飲むのだろう?と問いてきた日本酒のその背景はやはり壮大であり、その目的は人間を取り巻く多くの環境とのあいだに関係性を構築して営み(時間)を創出していくことであると強く感じるようになっていきました。これらを分類して個々に理解することは途方もない時間を要するし確固とした教材がないために現在までの日本酒業界ではこのような日本酒の背景に潜む背景の理解にいたることはありませんでしたが次世代の醸造家には必要になっていくことでしょう。

私はそのはじまりの1人として、これらの日本酒に潜む背景を統合して宇宙的縁起(COSMICINTERBEING)と定義付けました。私が酒造りからみたものは、あらゆるものに共通する「すでにあるつながり」です。すでにあるつながりは物理法則でも概念状でもすべてにおいて矛
盾なく満ちている世界の構造のようなものだと思います。

すでにあるつながりから発生した私たちは、すでにあるつながりから生まれた悠久の詩によって、宇宙的縁起というべき既存のつながりを思い出しています。私にとって宇宙的縁起の営みを思い出す詩は日本酒であり酒造りでした。詩の形状は人によってさまざまで、すでにあるつながりが表現されるその詩はパートナーであったり、子供であったり、親であったり、歌や踊り、料理や遊びや、物語や自然生命の姿や一瞬の体験であったりするでしょう。詩の形状は無限です。

そして私たち個体もまた宇宙的縁起の詩の 1 つであり、それら集合がまた宇宙的縁起の営みを形成するという一元論の世界を構築しています。出雲ではこれを神在と呼んでいました。私はそのことを実現できる酒が日本酒であり、自分自身が追及していくものであるという醸造哲学が自然と宿るようになりました。これは日本酒業界や天穏、出雲といった外的要因が私にそうさせたのでしょう。

小難しいような話ですが、このフィロソフィーは酒に限らず世界を正しく認識する壮大な真理であることは間違いありません。しかしこのことは言語として理解する必要は全くないものでもあります。言葉という分化の世界で理解することはなく、祭りや酔いという類化の世界ですでにあるつながりを直観することが最も必要な体験なのだと思います。

家庭でも飲み会でも祭りというべき営みの時の中でうまい酒を飲んで泥酔すればそれだけでよいものであるはずです。すでにあるつながりを信じて酒を造り、すでにあるつながりを思い出すように飲む。今回のSAGAはこの思想を具現化するための1つの酒として造りました。今回の水もと×山陰吟醸の酒造りはこのことを強く類推させる発酵の仕組みを持っています。

多くの人にとってはよくわからないことを書いたかもしれませんが、その内容は基本的にシンプルです。


酒造りに、自分の中から湧いてくる問いに YES と言って答えながら冒険した結果として今回の SAGA になったのです。
私は酒が知りたかったのではなく、すでにあるつながりを知りたかったから酒に惹かれていってのだといまは理解しています。

ITONAMI being,Brewing YES!!

営みはすでにある、それを信じて酒をつくるSAGA を飲んでいただければ、この私のお酒への青い情熱を直観的にお伝えできると信じて
います。

 

商品詳細

■原材料 米・米麹

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