寒北斗


 

酒銘「寒北斗」。そのまま「かんほくと」と読みます。

その名の由来は酒蔵近くに祀られる北斗七星の神社「北斗宮」にあり、吟醸づくりの基本である「寒仕込み」の折、杜氏を筆頭に蔵人皆で神社に詣で、本年のお酒づくりの無事を祈願してきた…その神社の名にちなんで名付けられたものです。

水墨画。神社仏閣。キモノ。お茶。陶磁器。刺身。数寄屋。日本刀。すべてニッポンの美は、究極的な引き算発想によって描き出されます。

「寒北斗」もしかり。求めればキリのないほど物的に満たされた現代日本ながら、「本物」をつくることの厳しさ困難しさだけは、昔も今も変わりません。

ひとつは水。遠賀川源流の恵みの清水を選び抜き、蔵内の古井に湧く「玉の水」のみを用いて、その特性を活かしたお酒づくりを行うこと。(これが玉の井酒造の社名の由来です)

ひとつは米。お酒づくりの司令塔である杜氏(とうじ)を筆頭に蔵人皆で田に入り、地元の農家さんと共に協働栽培で育てた「福岡県嘉穂産の山田錦」。王者兵庫のそれに勝るとも劣らぬ手間暇をかけたこのお米の命を活かし、その持ち味を引き出すこと。

ひとつは酵母。九州が生んだ醸造界のサラブレッド「熊本9号酵母」にこだわりしかと向き合うことで、飲み飽きず、ひとくち毎に旨さの増してくる、調和に優れた美酒を描き出し、ただ正直にとにかく丁寧に醸すこと。

こだわりはこの3つだけ。ただ文字で読めばその他大勢と変わらぬありきたりなことばかりでしょう。しかし「寒北斗」は「寒北斗」であり他の何物でもない。というこの不思議。なぜならば…人はワキであり、主役は風土なのです。だからこそ、地の酒である"地酒"の魅力は尽きないのだ、と私たちは思うのです。「寒北斗」が放つその香味の奥に、恵みゆたかな福岡嘉穂の田を渡る風の香り、九州大地が育んだテロワールの滋味を感じていただけたら幸いです。

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